京都市立芸術大学大学院美術研究科
デザイン学特論 ゲスト講義シリーズ
プールリバー


講師:

西澤徹夫


タイトル:

/チューニング/アーカイヴ/レイアウト/コレクティブ/

日時:

4/19(木) 13:00-14:30

場所:

中央棟3階 L1講義室

略歴::
建築家。株式会社西澤徹夫建築事務所主宰。作品=《東京国立近代美術館所蔵品ギャラリーリニューアル》(2012)、「映画をめぐる美術──マルセル・ブロータースから始める」展会場構成(2014)、《西宮の場合》(2016)、「京都市美術館再整備工事基本設計・実施設計監修」(共同設計=青木淳建築計画事務所)、「八戸市新美術館設計案」(共同設計=浅子佳英)ほか。

http://tezzonishizawa.com/


以下、西澤さんをよりよく知るための参照です。


「アーカイブにはそもそも全体というものがありません。終わりがないものです。そしてそれが収納されるテーブルとしての『レイアウト』は、有限な構成要素間の差異を援用しながら全体の仕組みや骨格や調和をつくり出す『コンポジション』とは似て非なるものです。厳密に分節された全体(コンポジション)と、そもそも全体というものが宙吊りにされた暫定的な全体(レイアウト)では、通時的な可塑性や柔軟性が異なるのだと思います。いつか書き込まれるかもしれない余白を措定しつつ、都度チューニングを積み重ねることを許容するレイアウト、あるいはアーカイブ的な世界の捉え方から、建築や都市を計画することの可能性について考えています。」(西澤)


「言ってしまえば何でもラーニングになってしまう怖さはあるわけですが(笑)、ラーニングを通して美術館でやるべきことは何かを探っていく。そこに鉱脈を掘り当てていくような面白さがあると思いますし、そのプロセスはドキュメントとして開示すること、すなわち設計行為そのものがラーニングを軸としたアートプロジェクトになりえるのではないでしょうか。」(西澤)


「新築の時にはトータルなヴィジュアルコントロールを徹底することである種の全体性をつくりだすことができるわけだけれども、後乗りでそれをするにはかなり引いた視線で、つまり批判的操作で対処するのが、まあ一般的な気がする。曰く、新しいものと古いものが共存するだの、どちらが地で図か分からなくするだの、と。しかしそれにはある程度の改変の規模が必要で、表現として成立するだけの変化の量が必要になってくる。圧倒的に改変量がすくないことが何か意味のあることになりうるとしたら、それは、改変部分が引き伸ばされることによって、何かとてもニュートラルなことが起こることにあるような気がする。」(西澤)

「 レイアウトは戦略である」(西澤)


「タモリの4カ国親善麻雀というネタがあります。これの面白いところは、デタラメだと分かっているのにそれらしく聞こえる」


「単に『視覚化された情報』である、というには惜しいその感触が、感触と言うからにはなにかしらのmatter(物質)感が、計測と分析と演算の精度が上がってやがてなめらかになっていったとき、再び、しかし以前とは違うかたちで、マテリアリティを取り戻していくかもしれません。」(西澤)


↑ 会場構成をされた東京国立近代美術館『ヴィデオを待ちながら―映像、60年代から今日へ』の会場風景


↑ 会場構成をされた東京国立近代美術館「映画をめぐる美術—マルセル・ブロータースから始める」展


↑ 東京国立近代美術館 所蔵品ギャラリー リニューアル


↑ 東京国立近代美術館主任研究員の三輪健仁さんによる「ヴィデオを待ちながら」展と「映画をめぐる美術」展についての話

「『ヴィデオを待ちながら』展の場合は、最初に話したように近代美術館という場所が持っている条件をすごく意識して会場構成をしています。もともとのコンセプトとして、すごく開けた空間でやる、というのがまずあったように記憶していて、個々の映像作品は、専用の閉じられた部屋を作るようにアーティストに指示されたもの以外は、ほぼ囲い込まずに展示しました。また、囲われたボックス状のスペースを作るにしても、なるべくそれを建物の構造壁から離して作る。いわば、大きなボックスのなかに、小さなボックスがいくつか浮かんでいるようなイメージです。で、普通に考えるとボックスとボックスのあいだは展示空間ではなくなるのだけれど、そこにも作品を置く。ボックスの中と外いずれもが展示空間として反転しあう感じですね。このコンセプトは、共同で企画した同僚の蔵屋美香や、展示構成を担当してくれた建築家の西澤徹夫さんのアイディアです。ちなみに西澤さんは『映画をめぐる美術』展の会場構成も担当しています。」(三輪)


↑ 東京国立近代美術館主任研究員の三輪健仁さんによる『Re: play 1972/2015―「映像表現 ’72」展、再演』についての話。西澤さんが会場構成を手がけた。

「先日、今回の会場構成をしてくださった建築家の西澤徹夫さんとこんな話をしました。たとえば元の台本に『ここで前へ進む』とだけあったとき、今回の試みはそこに『3歩』と具体的な数字を書き入れてしまうような一面があるかもしれません。でもそれは必ずしも解釈の幅を狭めることではないのでは? と。数十年後に『再演』を試みる人は、今度は『3歩』をもとに、またはその『3歩』があるからこそ、『5歩』とすることも可能になる。だから少なくとも、それが今回加えられた記録だとはっきりしていれば、新たな解釈も含めてポジティブに考えてもいいかもしれません。」(三輪)